2022年5月1日 「相互理解のためのコミュニケーション技術」セミナー
本日は東京工芸大学芸術部教授 大島 武教授にお越しいただき表記の講演をしていただきました。
例えば研修医を指導する人間が、上顎の親知らずを抜歯しているとします。麻酔が終わった時、抜歯鉗子が用意されていないのに気付くと「あれ、持ってきて。」と言いがちです。しかし経験の少ない研修医は「あれ」がとっさにわからずパニックに陥りそれがさらに指導医をイライラさせるというのはよくあることです。
「あれ」という記号が共通言語にまでなっていない状況です。指導医はこう言えば相手に真意が伝わります。「今、上顎智歯の抜歯の為の麻酔をしました。上顎大臼歯用の抜歯鉗子を持ってきてください。上顎大臼歯用抜歯鉗子は歯をつかむ部分が2回屈曲しているものです。下顎の抜歯鉗子は1回屈曲しているので間違えないでください。もしわからなければ両方持ってきてください。」と、言わなくてはいけません。
ずいぶん大変なようですが、お互い手術の環境に入り、共通の専門用語(コード)が醸成されるまでの半年ほどはお互いのすり合わせの期間と思い頑張りましょう。
教育におけるコミュニケーションははお互いが理解し合うためお互い送った信号が意図したものであるかを確認し合う事が大切です。
このような事を我々に示唆してあっという間の90分の講演でした。
大島先生、ありがとうございました。