2021年10月12日 支台歯形成した歯にテックを作っています。
本日(火)は、形成テックコンテストです。
ある研修医が作成提出した21テック(左上1番)です。
大分頑張りましたが、近心隅角がすこし丸めすぎであることと切端が遠心少し下がり気味なのが判るでしょうか。
ほんの0.1~0.15㎜の事です。これを合格とするか不合格とするかは評価するドクターたちに任せます。
さて次の写真は江戸時代の刀の鍔(つば)です。相手と対面したときに刀の鍔は一番目立つ装飾品です。ここに細工を凝らすことができるのは身分が高く経済的に余裕のある侍だったはずです。今の時代なら腕時計のようなものです。
この鍔を拡大してみるとクレマチスの花の周りは小さな粒粒模様でできています。これはインプラントでソケットリフトする時に使うオステオトームの先端を直径1ミリ位にしたような道具、鏨(たがね)を小さな金槌で1つ1つ打ってつけた「魚子打ち」(ななこうち)という技法でつけられています。
タラコの粒粒を魚の子と書いて「魚子」(ななこ)と呼んでいたところからそう言われています。
顕微鏡もルーペも無い江戸時代は親方に厳しく育てられた目の良い10歳から15歳位の職人がこの仕事を任されていました。もし打ち損じたら作品が台無しになるので当時の職人は相当厳しく体罰も受けていたようです。
地下鉄工事で出てくる江戸時代の遺骨にはそういう体罰の痕、骨折、陥没の痕が多く見つかっています。
現代ではもちろん体罰は許されませんが、厳しくできるまで何かに没頭してその道に精通することができるようになる環境が減ってきています。
口だけでなく手が動くドクターを育てるために何度も何度もできるまで指導しなければなりません。