2021年8月2日 自分に合った得意分野を身につける事
私の父親も歯科医師でエンドが得意でした。
40年ほど前、父は私に抜去歯でエンドを教えてくれながらこう言いました。
「エンドは見えにくいしめんどくさい治療よ。だからライバルが少ないけん頑張った分だけ人より秀でることができるんよ。」(愛媛県の伊予弁で)私はそうかと思い一生懸命エンド治療に精を出しました。
人が敬遠する処置を克服することができればその道で患者さんの信頼を得ることができると言い換えることができます。
そして私が30歳を過ぎたころ父は私にこう言いました。「もうお前も30過ぎたからもうあとものにできる分野は時間的に言って一つしかないのう。」
父は義歯をマスターしてほしかったのだと推測しますが、私は外科を選びました。
地域のニーズもありましたが、父親の後を追っていては父親を超えることはできないという思いもありました。
外科処置の予後は全身状態にも左右されるため内科的知識が必要です。ひどい炎症の患者さんが来たら糖尿病がないか血糖値を測定するのは当たり前です。
30年前に私が外科に舵を切っていなければまったくわからなかったことです。
私は研修医に常に厳しく指導しますが、ある程度できるようになったら自主性を尊重します。皆それぞれ得手不得手があり得意分野を身につけるためにはベースとなる部分が確立していなくてはなりません。
ベースができればそこを足場に視野がひらけ守備範囲が広がるのです。
写真は休みに日の午後に出てきて「コソ錬」をする姿です。
コソ錬に出てきて「院長、チェックお願いします!」って図々しくて良くないですか?
私はそういう姿は、頼もしくて好きです。